週一ピラティスを続けているのに、一番気になるぽっこりお腹だけが凹まず、むしろレッスン中に腰痛を感じていませんか?
結論から言います。
その原因は、あなたの努力不足ではありません。お腹の表面ではなく、「体の奥深く」にある本当の体幹(インナーマッスル)を正しく使えていない、ただそれだけです。
「頑張っているのに効果が出ない…」
そのもどかしい気持ち、痛いほどよく分かります。
この記事では、週一回のレッスン効果を最大化し、頑固な下腹と腰痛を同時に改善するための、40-代からの専門的なピラティスの考え方と、私が実際に「これだ!」と開眼した具体的なコツを、余すことなくお話しします。
「これだ!」と気づいた、たった一つの意識
私も長い間、「お腹の奥を意識する」という感覚が分かりませんでした。
先生の言う通りに動いているはずなのに、効いているのはお腹ではなく、なぜか太ももや肩ばかり…。そんな自己流の暗闇から抜け出せたのは、インストラクターの方からいただいた、ある魔法のようなアドバイスのおかげでした。
「お腹をただ凹ませるのではなく、恥骨を少しおへそに近づけるように、骨盤を後傾させてみてください」
その言葉通りに、ゆっくりと骨盤を傾けてみた瞬間、人生で初めて「下腹部の奥、背骨に近い部分」にキュッと力が入るのを感じました。「これだったのか!」と、まさに目から鱗が落ちるような体験でした。
力を入れるべき場所は、お腹の表面の筋肉(腹直筋)ではなかったのです。もっと体の深層部にある、インナーマッスルこそが、私たちの体を変える鍵を握っていました。
ぽっこりお腹と腰痛の「本当の原因」
なぜ、この「お腹の奥」がそれほど重要なのでしょうか。
それは、40代の私たちが抱えるぽっこりお腹と腰痛の根本原因が、「インナーマッスルの衰え」と、それに伴う「姿勢の歪み」にあるからです。

ぽっこりお腹の正体は「内臓下垂」だった
私も以前は、ぽっこりお腹は単なる脂肪の蓄積だと思っていました。しかし、本当の原因はもっと根深いところにありました。
私たちの内臓は、「腹横筋」という、お腹周りをコルセットのように包み込んでいるインナーマッスルによって、正しい位置に支えられています。しかし、加齢や運動不足でこの筋肉が衰えると、内臓を支えきれなくなり、重力に負けて下へと落ち込んできます。
これが、「内臓下垂」です。
いくら腹筋運動をしても下腹だけが凹まないのは、この内臓の下垂が原因だったのです。お腹の天然コルセットである腹横筋を鍛え直さない限り、根本的な解決にはなりません。
腰痛は「反り腰」という姿勢の歪みからのSOS
そして、長年の腰痛も、実はこのインナーマッスルの弱さが引き起こしていました。
腹横筋が弱ると、腰を支える力が不足し、バランスを取ろうとして無意識に腰を反らせる「反り腰」の姿勢になります。この姿勢は、常に腰の骨や筋肉に過剰な負担をかけ続けるため、慢性的な腰痛の原因となるのです。
つまり、ぽっこりお腹と腰痛は、別々の問題ではなく、体の深層部で繋がったSOSサイン。
表面的なトレーニングではなく、体の使い方を根本から学び直す必要があったのです。
自宅でできる!お悩み解消ピラティス3選
この「お腹の奥を使う」という最も重要な感覚を養うために、週一回のレッスンに加えて、自宅でこの動きを2〜3分だけプラスしてみませんか?
ここでは、私が実際に毎日続けて、効果を実感した3つの基本的なエクササイズを、初心者がやりがちな失敗例と成功のコツと共に、詳しく解説します。
エクササイズ名 | ポイント | 目安回数 |
ペルビックティルト | 骨盤を揺りかごのように動かす | 10回 |
ニーフォールド | 股関節から脚を丁寧に持ち上げる | 左右5回ずつ |
ハンドレッド(準備) | 呼吸と連動してお腹を凹ませる | 5呼吸 |
1.ペルビックティルト(骨盤の傾き)
これは、骨盤を正しい位置に戻し、お腹の奥の筋肉を目覚めさせるための、最も基本的で重要な動きです。
【正しいやり方】
- 仰向けになり、両膝を立てます。
足は腰幅に開き、腕は体の横にリラックスさせておきます。 - 鼻から息を吸って準備します。
- 口からゆっくりと息を吐きながら、おへそを背骨の方へ引き込むようにして、腰をマットに押し付けます。(骨盤が後傾する動き)
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の位置に戻ります。
この時、少しだけ腰を反らせて、腰とマットの間に手のひら一枚分の隙間を作ります。(骨盤が前傾する動き) - この骨盤を揺りかごのように前後に揺らす動きを、呼吸に合わせて繰り返します。
【体験談:失敗例と成功のコツ】
- 失敗例:
最初はただお尻を上げ下げしているだけで、腰や太ももに力が入ってしまい、肝心の下腹には全く効いていませんでした。 - 成功のコツ:
「息を吐きながら、おへそを背骨の方へ引き込む」という意識に集中したところ、腰が床にじわーっと吸い付くような感覚が分かり、下腹部の奥に鈍い刺激を感じられるようになりました。
地味ですが、この感覚が掴めてから、すべてが変わりました。
2.ニーフォールド(膝の折り畳み)
股関節を正しく動かす感覚と、片脚を動かしても体幹がブレない安定性を養うエクササイズです。
【正しいやり方】
- ペルビックティルトのスタートポジションから、息を吐きながら腰をマットに押し付け、骨盤を安定させます(ニュートラルポジション)。
- 息を吸いながら、片方の脚を股関節からゆっくりと持ち上げ、膝の角度が90度になる位置(テーブルトップポジション)まで上げます。
- 息を吐きながら、ゆっくりと脚を下ろし、つま先がマットに触れる直前で止めます。
- この動きを、片脚ずつ繰り返します。
【体験談:失敗例と成功のコツ】
- 失敗例:
脚を動かす時に、意識が脚にだけ向いてしまい、骨盤が左右にぐらついて、お腹がポコッと抜けてしまっていました。 - 成功のコツ:
「おへそを固定する」という意識で、お尻の下に自分の手を敷いて、骨盤が動いていないかを確認しながら行ったところ、脚の付け根からスムーズに動かせるようになりました。
お腹の奥で体を支えている、という感覚です。
3.ハンドレッド(準備)
ピラティスの代表的なエクササイズ「ハンドレッド」の準備運動です。呼吸と連動させて、腹筋上部を効果的に鍛えます。
【正しいやり方】
- 仰向けになり、両膝を立てます。
両腕は体の横に伸ばします。 - 鼻から息を吸って準備します。
- 口から息を吐きながら、頭と肩をゆっくりとマットから持ち上げます。
同時に、両腕も床と平行になるように少し持ち上げます。 - その状態で、鼻から短く5回息を吸い、口から短く5回息を吐く、というポンプのような呼吸を繰り返します。
- まずは、この呼吸を5セット(50回)行うことを目標にしましょう。
【体験談:失敗例と成功のコツ】
- 失敗例:
上半身を起こそうと意識しすぎて、首や肩にばかり力が入ってしまい、翌日ひどい首こりになってしまいました。 - 成功のコツ:
「目線をおへそに向ける」ように意識を変えたところ、自然とお腹の力で起き上がれるようになり、首への負担がなくなりました。息を「ふっ、ふっ、ふっ」と吐ききることを意識すると、さらにお腹の奥に効いてくるのが分かります。
自宅練習で、週一レッスンがもっと楽しくなる!
自宅でこの3つの地味な動きを始めてから、週一回のスタジオレッスンが劇的に変わりました。
以前は「先生の指示が分からない…」と焦っていたのが、
「ああ、今この筋肉を使っているんだな」
「これが骨盤のニュートラルポジションか」
と、体で理解できるようになったのです。
ついていけなかった少し難しい動きも、お腹の奥で体を支えられるようになったことで、少しずつできるようになってきました。
レッスンは、「できない自分と向き合う苦しい時間」から、
「自分の成長を確認できる、ご褒美のような楽しい時間」
に変わったのです。
あなたの体は、もっと変われる
週一回のピラティスで効果を感じられないのは、あなたの努力が足りないからではありません。ただ、体の正しい使い方を、まだ掴めていないだけかもしれません。
大切なのは、焦らないこと。
そして、昨日より今日、少しでも自分の体の感覚が分かったなら、その小さな変化をたくさん褒めてあげることです。
その積み重ねが、ぽっこりお腹と腰痛の根本改善への、一番の近道になるはずです。